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2011年 国際道教フォーラム 早島妙聴副道長 発表内容

 

2011.10.24

我是 日本道观的道长 早岛妙听。
承蒙邀请, 能够参加这次学会, 我感到非常的荣幸。

この度は 中国道教協会会長 任法融様
 中華宗教文化交流協会会長 王作安様に このすばらしい国際学会にご招待いただけましたことを 心より感謝もうしあげます。
日本道観道長 早島妙瑞より直接参加できなかったことへのお詫びと 学会の大成功と皆様のご健康とご発展を心よりお祈りしておりますことをお伝えいたします。

私たち日本人は今年の3月11日に東日本大震災に見舞われ、東北地方は村ごと津波に流され、原子力発電所の事故も起き、多くの方々が被災しました。 その折りには中国を初めとし、世界の国々からの支援を受け、大きな勇気をいただいたことに、ここであらためて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。  

そして昨年9月に中国道教協会よりご招待を受け、参加させていただいた中国道教文化祭において、すばらしい街に甦った四川省成都の様子をまのあたりにしました。 これからの日本、東北も同じようにまた甦る日が一日も早く来ることを祈っております。

そして、日本だけでなく、実は世界でも、これまでの記録を上書きするような、人間社会に大打撃を与える自然現象、天災が次々と起こっています。 人類にとって、できれば起きて欲しくないと願っていた、地球環境の崩壊は現実のものとなり、速度をどんどん速めているように思えます。 

★宇宙の中での人類の共生

しかし、これも人間の立場に立った物の見方であり、宇宙の歴史
137億年、地球が誕生して46億年という長い歴史から見れば、人類の歴史は猿人から考えても500万年前と、宇宙の歴史から比較すれば、ほんの最近のことであります。 ですから今起こっているような自然現象は特別なことでもなく、また初めてのことでもないのです。 

ですが、確実に言えることは人類の成してきた経済至上主義、
利潤や便利を追求するためには、自然破壊も当然という傍若無人なやり方が、地球環境破壊を著しく早めてきたということです。
私たちは、ここで立ち止まって真剣に人類の行く先について考えなくてはならない時に来ているのです。

人間は天地自然、言い換えれば「道」によってこの世界に命を与えられ、そして一生を過ごし、特別の卓越した修行者以外は確実に長くても100年程度の人生を終えて死ぬのです。 そして地球上に住む多くの動物植物も同じようにそれぞれの生命を全うしようとしています。 ところが人間はこれまで、自然と共に生きるというより、自然を人間の思うように利用しようとしてきました。 地球の歴史の中でつい最近生まれたばかりの人間が地球を支配しようと考えたこと自体が間違っているのです。

人間の力は小さく、そして自然の陰陽調和の力、エネルギーは膨大です。 その中で宇宙との調和、共生を忘れた人間だけの視点から見た一方的な開発は、もうすでに限界に来ているのです。 今から23年前に書かれた早島天來の著書「老子道徳経の読み方」の中にはそのことがはっきりと記されています。
大震災を越えて今、日本でもこれまでの人間の視点に立った思想、哲学を越えた、宇宙の中の人間という大きな考え方が求められ始めてきました。 なぜなら 今回の大震災とその後の原子力発電所の事故は、そういった大きな視点で物事を見なければ、何の解答も導き出されないからなのです。 
 
そしてその宇宙の視点に立った大きな哲学こそ、紀元前の中国で完成された、世界に類を見ない「道」TAOの哲学であり、「老子」なのです。 

心も体も宇宙、天地自然と共生し、対立の無い生き方、今こそ私たち人類は「道」TAOに立ち戻らなければなりません。 そしてその「道」に添った生き方とは、人間同士の共生だけでなく、地上の動植物すべて、またそれを越えて天地自然、宇宙の中での共生に立った考え方、生き方をするということです。

身近な人と人、また国境を越えた人と人との共生、その先には、もっと大きな宇宙の気の中に生かされるという考え方、宇宙の気との共生が必要とされてきます。 
そうでなければ、人間は開発し、建設し、そして天災で壊されるという悲劇が繰り返されてゆく事でしょう。  

人類の明るい未来のために、幸せで豊かな将来のために、今「道TAOが必要とされているのです。

 日本道観始祖早島天來は生涯をかけてそのことを伝えてきましたが、今こそ「老子」を学び「道」TAOを学び、「道」に生きることを広く人類に伝えてゆかなければなりません。

日本に中国から、いつTAOの思想が渡って来たか、ということについては、王仁が紀元3世紀に朝鮮半島を経由して『論語』『千字文』とともに『老子』『荘子』を持って来た可能性があるとされています。 そして室町時代(1336~1573)には五山の禅修の僧侶たちは熱心に老荘を研究しており、最も老荘研究や中国医学の研究が進んだのが江戸時代といわれます。 日本道観ではこれらの老荘関連哲学書、また『諸病源候論』『黄帝内経』、『易経』、『傷寒論』などの医学に関する江戸時代を中心とした漢籍を収集してきましたが、現在、中国の研究者と共同でその内容について研究調査を進めており、この古代中国に生まれたすばらしい叡智を現代の人々にあらためて伝えるべく日中両国での出版ができるように進めております。  そしてあわせて日本全国の支部での活動、またインターネットを利用して、多くの方々にタオイズムの思想、修練を伝えてゆくことを積極的におこなっております。

私たち大人が自分達の子供の時代に何を残せるのか、考え行動しなければなりません。 孫、子の時代に残すべき未来は、決して欲望の追求で壊された地球環境と荒廃した人心であってはならないのです。 

そして今人類が学ぶべきこと、その導きとなるのが、中国古代に完成された無為自然、「道」TAOの哲学であり、気の医学であります。 日本で不安が高まっている放射性物質による人体に対する影響ですら、人体の気の流れをよくすることにより、その影響を最小限にとどめることもできるだけでなく、
日本を初めとして各国で問題とされている、高齢化社会問題でさえ、実はこの「道」TAOを学び、そこに残された気の修練をすることにより、「精、気、神」を研くことで、人は生涯現役で健康に楽しく生きることができるようになり、医療費は減り、死ぬまで健康に楽しく生きる老人たちが増え、そして家族が、社会が、世界の国々が共生して生きてゆけば、何も怖がることはなくなります。

道を学び、気の修練を重ね、人体が小宇宙であることを知り、宇宙との共生を体観する生き方、これこそが明るい未来への方向性を指し示してくれているのです。 

日本で唯一の道観として設立30周年を迎え、始祖である早島天來宗師御生誕100周年を迎えた今年、
今こそTAOの発祥の地、中国、そして世界の多くのタオイストの皆様とともに、勇気をもってTAOの共生を伝え発信してまいりたいと思います。 多くの修行を重ねられた諸先輩方、研究者の方々にお力を借りて、広く世界にTAOを発信しつづけてゆきたいと思います。 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
ご静聴ありがとうございました。

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